アスリート・キャリア支援セッション実施報告(ハイパフォーマンススポーツ・カンファレンス2019)

アスリート・キャリア支援セッション実施報告(ハイパフォーマンススポーツ・カンファレンス2019)

JSCでは、スポーツ庁委託事業「スポーツキャリアサポート推進戦略」事業の一環としてJSC主催『ハイパフォーマンススポーツ・カンファレンス』にて、アスリートのキャリア形成に関する情報を発信するセッションを実施しています。 今年のテーマは、「ポスト2020のスポーツ界におけるデュアルキャリア支援の在り方」とし、アスリート、競技団体、教育界及び産業界のそれぞれの立場でアスリートのキャリアについて見識のある下記の3名の登壇者を迎え、ディスカッションを行いました。

登壇者 所属・役職等
松本薫 氏 2012年ロンドン五輪 柔道女子57キロ級金メダル/株式会社ベネシード AD統括本部 DI事業部 社会貢献推進課
宮脇信介 氏 日本フェンシング協会 専務理事
田中研之輔 氏 法政大学 キャリアデザイン学部・大学院 教授

本セッションでは、主に中央競技団体にトップアスリートのデュアルキャリア支援について主体的に考えて頂くことを狙いとし、 海外で活用されるハイパフォーマンススポーツのチェックリスト93項目からキャリアに関する4項目を抜粋したワークシートを使用し、参加者がそれぞれの所属先での取り組みを客観的に評価できるよう試みました。

JSC監修の「アスリートデータブック : 夏季版 2018」によると夏季オリンピックメダリストの平均年齢が26歳前後でピークとなることが示されており、ピーク年齢から逆算したスポーツ以外の将来を見据えたデュアルキャリアの視点が重要であることを共有しました。 さらに中央競技団体は育成・強化の各段階にデュアルキャリア支援を整備することが必要となることを問題提起しました。

まずは、大学と産業界をつなぐ立場で田中氏から、キャリア研究の学術的な背景から近年注目される「プロティアン(変幻自在な)キャリア」という新しい概念についてご紹介いただきました。 「人生100年時代」だからこそ、自身が変幻自在であることへの気づきの大切さ、社会においては適応性の高いキャリア形成が求められていることを学びました。

その後、宮脇氏からは、日本フェンシング協会が勝利至上主義から脱却し「アスリート・フューチャー・ファースト」へコンセプトチェンジした経緯などをご紹介いただきました。 具体的な取組みとして、選手が主体性と社会性を獲得するため、自分自身でセールスシートを作り、スポンサーを獲得できる仕組みと支援を実施しているとのことでした。

また、アスリートを代表して松本氏からは、引退後に所属先の企業内で新規事業であるアイスクリーム店の運営をしている経緯や幼少期からの体験等をお話しいただきました。 松本氏は、幼少期から常に物事を主体的に考え、判断、行動し、修正を繰り返すことが習慣化しており、それが競技にも現在のビジネスにも生かされている様子が伺えました。 体重階級制による食への感受性の高さからか、味覚、臭覚などの五感の繊細さが現在のアイスクリームの新商品開発にも生かされていることも分かりました。

先日のラグビーW杯でも注目されたラグビーニュージーランド代表は、競技力向上と共にアスリート一人ひとりのウェルビーイングを大切にしたハイパフォーマンススポーツ支援が取り組まれています。 我々は、松本氏のキャリア形成過程を参考にしながら、アスリートが競技を終えた後も、一人ひとりが自分らしく社会で活躍できるよう、スポーツ界として支援をしていく必要があると考えています。 また、それはスポーツ界だけでは完結できないからこそ、教育界、産業界が連携して、アスリートのキャリア支援を進めていただけることをお願いしたいと思います。

今後とも、JSCはアスリート・キャリア支援に関する情報を発信して参ります。本事業に対する皆様のご支援とご協力をよろしくお願いいたします。

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